昨今、O2O(Online to Offline)、やオムニチャネルなどについていろいろと語られています。今後の企業戦略として重要な位置を占めるのは間違いないでしょう。しかし、形だけの対応をしている企業も多いのも事実です。
O2O、オムニチャネルとは?
そもそもO2O(Online to Offline)とはなんでしょうか?
リアルとネットの融合という言い方されているケースも多いですね。つまり、今まで店舗だけの接点をネットまで広げたといえばわかりやすいと思います。ネットスーパなどもその取組の一つといるでしょう。また、ネット経由でリアル店舗に誘導するようなこともこのO2Oの範疇にはいると言えます。
一方でオムニチャネル。オムニとはラテン語で「すべて」を意味するようです。
つまり、すべてのチャネル=オムニチャネルということになります。こちらも店舗だけの接点ではなく、様々なチャネルで顧客と接触し、ある意味店舗に来る前から顧客を誘導するような仕掛けということができます。
スマートフォンの普及
これらを大きく推進したIT環境で忘れてはならないのが、スマートフォンの普及です。
昔、「ユビキタス(いつでもどこでも)」と言われていたことがありますが、それがまさに実現された世界が今ということができます。
そこで、多くの企業がスマホアプリ構築に乗り出したり、様々な取り組みに入ってきているわけです。
企業の取り組み?
と、ここまでは教科書的です。このような環境から「O2O、オムニチャネルに取り組め!」と経営側から号令がかかっているのかもしれません、いろんな企業が動き出しています。
この発想はそもそもネット企業から来たものと言って良いと思います。それをリアルにまで広げた。しかし実際にはリアル中心で動いていた企業がより顧客との接点をお止めてネットに踏み込んできているというのが実際の動きです。
では、何から始めたら良いのか?
ECを立ち上げた企業もありました。アプリを作った企業も有りました。でもいまいちうまく言っているとは言えない・・・
本質的なこと
実は本質的な対応として2つを忘れています。
一つ目はID。そう、「顧客のID」です。
O2Oにしてもオムニチャネルにしてもすべての核となるものは顧客を特定するIDです。これだけ聞いて「なんだ、そんなことか?」と思われた方は読みが甘いです。
顧客ID中心のシステムとする必要があるわけです。
そもそもサプライチェーンシステムは商品中心のシステムを構築してきています。
POSがその代表でありますが、商品、在庫、流通などにものすごく力を入れた仕組みとなっています。ですが、これには顧客という概念は入っていません。
O2O、オムニチャネルの主役は顧客です。つまり、システムの構成が全く変わることを意味しているわけです。IDの中心は顧客IDです。ちょっとばかりの外付けの仕組みでは対応出来る話ではないのです。
そして、その上でにもっと重大な物があります。
「組織」です。
ほとんどの流通業では店舗単位での管理を行っているはずです。店舗に裁量を与え、売上を最大限にする方法です。
ですが、O2O、オムニチャネルという概念では「店舗」は全体のごく一部になるわけです。つまり顧客視点になるわけですから、その顧客がどの支店店舗に行こうが勝手なわけです。今日は会社の近く、週末は家の近く、もしかしたらネットで済ますかもしれません。
これが何を意味しているのか?ピンと来られる方もいらっしゃるでしょう。
つまり今の組織では「顧客の取り合い」となってしまうわけです。
実際、中途半端な取り組みでECを内部に作った企業がありますが、このために変な軋轢を生じています。これは至極当たり前のこと。
つまり、単に言葉に踊らされ、形式的な対応をした結果もたらされる、ある意味当たり前の状況なわけです。
SI業者などはそんなことはいう訳ありません。彼らは単にソリューションを売りたいから。「ビッグデータ解析にはこのソリューションが」「データ収集のためのソリューションは・・・」
しかし本当に成功させるためには組織自体を大きく変えるくらいの覚悟が必要となるわけです。
この記事へのコメントはありません。