様々な企業様に顧問として行っていますが、最近特に気になることがあります
ビジネスにおいてInformation Technology = IT(情報技術)が主体になり、その手法、技術などは語られるのですが、そもそものInformation(=情報)について軽視されているのです。
そして、ほとんどの問題の本質はここにあったりします。
ケース1
ワラントのディーリングデスク。この分析用の仕組みに行使価格情報が必要。(この行使価格情報は権利落ちなどにより、変更されることがある。)
→バックオフィスシステムに行使価格情報が入っていたので、これを利用
答☓
バックオフィスシステムは基本「受渡し日」(証券の売買日ではなく、それを受け渡す日)を基準に作られています。しかし、トレーディングは「約定日」(証券の売買日)を基準として実行されます。
なので、バックオフィスのデータ管理担当者は「受渡日までにデータを整備」すれば良いわけなので、売買日での変更を意識していません。
ケース2
勘定系情報からデータを取得し、統合DBを作り、顧客分析をしたい。
→勘定系データのデータをダンプ、DBに格納、BIツールでシステム実装
答☓
勘定系データの月末データは実は月が過ぎても、修正されるのです。
修正電文などが入りますので、あとからチェックしデータが変わることがあります。
このように、データを熟知している人は、このデータをそのまま利用することができないのをわかっていますが、情報処理を知らない人は、「あ、ここにデータがある。」ということだけで使ってしまうのです。
この潜在的課題は、様々な業種、業態に存在しています。
昨今の問題は、情報統合。
昔とは異なり、様々な企業情報を統合できるようになりました。BIなどはまさにそのためのツールですね。
ですが・・・
上記の様にデータの振る舞いを知らずに使ってしまうと、まったく意味の無い事になってしまいます。
そう、Information Technologyと言いながら、「Information」についてまったく認識が弱いのです。
まさに「I(愛)」の無いITとでも言いましょうか?(笑)
ベンダーの対応
この「Information」ですが、ベンダーに求めても答は出てきません。
当たり前です。ベンダーはあなたの会社の「情報」について知っているわけも無いからです。
その結果、提案を受けるのは・・・
「大量処理できるDBを入れてBIツールを入れ、情報統合しましょう!」
「このパッケージを入れれば御社の情報がすべて統合管理されます!」
というような事ばかり。
で、結果はどうなるかと良いますと・・・想像つきますね?
データアナリスト
最近、この言葉が流行っていますね。ビッグデータという言葉とワンセットのような気もします。
では、この方々なら果たしてできるのか?
ビッグデータの中から様々な統計手法、分析ツールを使い答を導き出す・・・。この人達ならできる?
ですが、真のデータアナリストは、統計手法、分析ツールを使える人のことではありません。
「データ自体の生成過程、そのデータの利用目的」を知って初めて分析が可能となるのです。
単にデータの「本当の」意味を知らずに分析ツールをぶん回している人はいわば「ツール使い」でしょうね。その結果も怪しいと言わざるを得ません。
おそらく、このタイプの方の方が圧倒的に多いと感じます。
真のデータアナリストはどこに?
では、このデータを熟知している方はどこにいるのでしょうか?
実は、社内にいらっしゃいます。
しかもおそらく、定年間近で窓際にいらっしゃる方々。
そう、往年は自身が情報処理を行ってきた方々です。そして、その仕事の殆どがコンピュータシステムに取られてしまった方々です。
彼らは情報処理を肌をもって感じていた人達。
つまり、データの生成過程を熟知し、その分析を手で行ったことがあり、データの重要性を非常によく知っている方といえます。
この方々が会社を去る前に、その経験値をいかに吸い上げるかが、重要になると感じています。
私も金融系データを扱っていた時に、いやというほど失敗をしました。それだけデータの取扱は難しいのです。単にデータベースに数値があるだけで使って良いシロモノではありません。ID一つとっても非常に難しい議論です。(この辺になると長くなるので、別途書くつもりでいます。)